ディスコをバフェット流に分析してみた(3)

週初めの月曜日、いかがお過ごしでしょうか。

アメリカでは、今日は「メモリアルデー」として祝われ、戦没兵士を追悼する日とされています。この日は、全米で追悼式典やパレードが行われています。

さて、本日は、”バフェットの銘柄選択術”で学んだ分析方法を使って、企業分析を実践してみます。本日は、ディスコ(銘柄コード:6146、以下同社と呼びます)です。同社は、プライム市場に上場しています。

株価分析パート

Q10.その企業の株価は、相場全体の下落や景気後退、一時的な経営問題などのために下落しているか?

5/26の同社の株価は、34,270円でした。過去3年を通して株価は、10,099円台~62,530円で推移しています。そのため、中程度の株価になります。そのため、回答は”はい”とします。経営問題などの記載は見当たりませんでした。最近の日経平均の下落を受けて、同社の株価は少し下がっています。

Q11.株式の益利回りと利益の予想成長率を計算し、国債利回りと比較せよ

同社の2023年のEPSは、765.46円です。これを2024年2月の10年もの国債利回り1.21%で割ると、国債に対する相対価値は、633円となります。これに対して、直近3年の実際の株価は、10,099円台~62,530円の範囲にあり、仮に2023年12月29日に購入したとすると、34,790円となります。購入単価に対する直利を求めると、2.2%(633円/34,790円)。同社の過去10年のEPS成長率は年平均26.4%だから(昨日のQ5参照)、同社の株は、初年度直利が2.2%で、年平均26.4%ずつ、クーポンが成長する疑似債券と見ることができます。従って、この疑似債権と、利回り1.21%に固定されている国債のどちらに投資するかということになります。

Q12.株式を疑似債券と考え、期待収益率を計算せよ

株式を疑似債券とみなすと、債券と同じように期待収益率を計算できます。具体的には、以下の方法です。

 1)Q6で計算した過去10年の平均ROEから、配当として支払われる部分(ROE*平均配当性向)を差し引いた純粋な株主資本の予想成長率を求める。

株主資本の予想成長率=過去10年の平均ROE*内部留保率(1-配当性指向)= 14.8%*(1-0.399)% = 8.91%

 2)株主資本の予想成長率と直近の1株あたりの株主資本(BPS)から、10年後の予想BPSを計算する。

予想BPS=直近のBPS*(1+株主資本の予想成長率)^10 = 3,202.14円*(1+0.0809)^10 = 7,518円

 3)予想BPSと平均ROEを掛けて予想EPS(Earning per share, 1株あたりの利益, 税引利益/発行済株式数)を計算する

予想EPS=予想BPS*平均ROE =7,518円*8.91% = 1,114円

 4)予想EPSに過去10年間の平均PER(Price Earnings Ratio, 株価収益率, 株価/一株あたりの利益)を掛けて10年後の予想株価を求める

10年後の予想株価下限 = 予想EPS*過去10年間の最低PER = 1,114円*14.77倍 = 16,459円

10年後の予想株価上限 = 予想EPS*過去10年間の最高PER = 1,114円*32.01倍 = 35,671円

 5)10年後の予想株価に今後10年分の予想配当金合計額を加えた値と、現在の株価から今後10年間の期待収益率を計算する。計算式は、期待収益率=(10年後の予想株価/現在の株価)^(1/10)-1 です。

税引前手取金額(下限)=10年後の予想株価の下限+今後10年分の予想配当金合計額= 16,459円+13,798円=30,257円

税引前手取金額(上限)=10年後の予想株価の上限+今後10年分の予想配当金合計額= 35,671円+13,798円=49,469円

税引前手取金額(下限)の期待収益率=(30,257円/34,790円)^(1/10)-1 = -1.39%

税引前手取金額(上限)の期待収益率=(49,469円/34,790円)^(1/10)-1 = 3.58%

Q13.過去のEPS成長率を元に計算する手法で、期待収益率を計算せよ

1)直近のEPSと10年前のEPSをもとに、過去の平均EPS成長率を出す。計算式は、過去の平均EPS成長率=(直近のEPS/10年前のEPS)^(1/10)-1 

過去のEPS平均成長率=(765.46円/73.26円)^(1/10)-1 =26.45%

 2)直近のEPSと過去10年間の平均EPS成長率に基づいて、10年後の予想EPSを計算する。計算式は、予想EPS=直近のEPS✕(1+過去の平均EPS成長率)^10である

同社のEPSが、過去10年間の成長率と同じ24.45%で今後も成長を続け、配当性向が39.9%で維持されるなら、2024年から2033年にかけてのEPSと配当の状況は、以下のように予想される。

年 予想EPS(円) 予想配当(円)
2023 765.45 115 *基準年
2024 967.89 386.19
2025 1223.87 488.32
2026 1547.53 617.46
2027 1956.79 780.76
2028 2474.29 987.24
2029 3128.64 1248.33
2030 3956.05 1578.46
2031 5002.27 1995.91
2032 6325.17 2523.74
2033 7997.94 3191.18

(2024年~2033年の配当合計は、約13,798円)

 3)予想EPSに過去10年間の平均PERをかけて、10年後の予想株価を求める

10年後の予想株価下限 =2033年の予想EPS*過去10年間の最低PER = 7,997.94円*14.77倍 = 118,130円

10年後の予想株価上限 = 2033年の予想EPS*過去10年間の最高PER = 7,997.94円*32.01倍 = 256,014円

 4)10年後の予想株価と現在の株価から今後10年間の期待収益率を計算する。計算式は、期待収益率=(10年後の予想株価/現在の株価)^(1/10)-1 である。

税引前手取金額(下限)=10年後の予想株価の下限+今後10年分の予想配当金合計額

= 118,130+13,798=131,927円

税引前手取金額(上限)=10年後の予想株価の上限+今後10年分の予想配当金合計額=256,014+13,798=269,812円

税引前手取金額(下限)の期待収益率=(131,927円/34,790円)^(1/10)-1 = 14.26%

税引前手取金額(上限)の期待収益率=(269,812円/34,790円)^(1/10)-1 = 22.73%

株価分析のまとめ

仮に、2023年12月29日時点の価格34,790円で同社の株を1株購入したとします。同社の株を、疑似債券としてみると、初年度の直利は2.2%、クーポンの成長率は、26.45%となります。これを元に同社の株を10年間保有する場合の期待収益率を計算すると、税引前で-1.39%(Q12のPER14.77倍のケース)から、22.73%(Q13のPER32.01倍のケース)の範囲という結果が得られます。つまり、10年保有した場合の税引前手取り金額の範囲は、30,257円~269,812円となります。

以上が、株価分析パートでした。いかがでしょうか?

結果評価

この分析がどの程度正しいかは、最終的には2033年まで待ってみないと難しいです。しかし、2024年の同社の決算短信から2024年のみ数字で検証したのが以下の表です。

年 予想EPS($) 実績EPS($) 予想に対する誤差 予想配当(円) 実績予想配当(円) 予想に対する誤差
2023 765.46 765.46 0.0% 115 115 0.0%
2024 967.89 777.28 -19.7% 386 307 -20.5%

2024年の実績EPSは777.28円で、予想よりも-19.7%。配当金は307円で、予想よりも-20.5%でした。配当性向は36.1%でほぼ変更なしでした。

さて、私個人としては、同社は多少消費者独占企業の基準に一致すると考えます。理由は、2013年からの平均ROE14%、長期負債がないなどの強い財務基盤、などが理由です。しかし、同社の現在のPERは、29.44倍と割高な気もしています。半導体はやはり人気ですね。引き続き、ウォッチリストに入れて見ていきます。

最後まで読んで読んでいただき、本当にございます。今日も良い一日をお過ごしください!

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