週末の金曜日、いかがお過ごしでしょうか。
さて、本日は、世界希少・難治性疾患の日(Rare Disease Day)です。世界中の希少・難治性疾患の患者数をあわせると3億人と推定されるそうです。このような日やイベントを通して、啓発が進むと良い気がします。
さて、本日も、”バフェットの銘柄選択術”で学んだ分析方法を使って、企業分析を実践してみます。銘柄は、引き続き、レーザーテック(銘柄コード:6920、以下同社と呼びます)です。
さて、分析に入る前に、バフェットの銘柄選択術の13項目を軽く要約します。13項目は企業分析と株価分析の2つのパートに分かれています。13項目すべて確認するのではなく、質問に対して”いいえ”の項目があった時点で分析を止めて、他のもっとよい企業を分析することが推奨されています。もし、13項目の具体的な内容を知りたい方は、ぜひ以前の記事(https://ted-lifeblog.com/books_buffet_check_13/)をご一読ください。また、分析はあくまで私見ですので、投資される際は自己責任でお願いいたします。
それでは、同社の分析を始めていきます。確認項目は質問形式なので、有価証券報告書や統合報告書で調べた結果をもとに、一つずつ回答していきます。
株価分析パート
Q10.その企業の株価は、相場全体の下落や景気後退、一時的な経営問題などのために下落しているか?
2024年6月に海外の空売り投資家スコーピオン・キャピタルが同社に関して不正会計に関するレポートを公開した。その後、同社は独立性のある特別調査委員会を通じて調査し、不正は認められなかったとの結論を得た。また、本日は、日経平均が前日比1,100円(2.9%)下落し、3万7155円で終えた。そのせいもあってか、同社の株価は、13,370円だった。この株価は、過去3年を通して低い株価である。そのため、回答は”はい”となる。
Q11.株式の益利回りと利益の予想成長率を計算し、国債利回りと比較せよ
同社の2023年のEPSは、511.89円である。これを2024年2月の10年もの国債利回り1.21%で割ると、国債に対する相対価値は、423円となる。これに対して、実際の株価は、13,370円から43,330円の範囲にあり、仮に2023年12月29日に購入したとすると37,170円となる。購入単価に対する直利を求めると、1.4%(511.89円/37,170円=1.4%)。同社の過去10年のEPS成長率は年平均40.5%だから(昨日のQ5参照)、同社の株は、初年度直利が1.4%で、年平均40.5%ずつ、クーポンが成長する疑似債券と見ることができる。従って、この疑似債権と、利回り1.21%に固定されている国債のどちらに投資するかということになる。
Q12.株式を疑似債券と考え、期待収益率を計算せよ
株式を疑似債券とみなすと、債券と同じように期待収益率を計算できる。具体的には、以下の方法である。
1)Q6で計算した過去10年の平均ROEから、配当として支払われる部分(ROE*平均配当性向)を差し引いた純粋な株主資本の予想成長率を求める。
株主資本の予想成長率=過去10年の平均ROE*内部留保率(1-配当性指向)= 21.9%*64.8% = 14.19%
2)株主資本の予想成長率と直近の1株あたりの株主資本(BPS)から、10年後の予想BPSを計算する。
予想BPS=直近のBPS*(1+株主資本の予想成長率)^10 = 1,210円*(1+01419)^10 = 4,536円
3)予想BPSと平均ROEを掛けて予想EPS(Earning per share, 1株あたりの利益, 税引利益/発行済株式数)を計算する
予想EPS=予想BPS*平均ROE =4,536円*21.8% = 989円
4)予想EPSに過去10年間の平均PER(Price Earnings Ratio, 株価収益率, 株価/一株あたりの利益)を掛けて10年後の予想株価を求める
10年後の予想株価下限 = 予想EPS*過去10年間の最低PER = 989円*9.6倍 = 9,492円
10年後の予想株価上限 = 予想EPS*過去10年間の最高PER = 989円*39.6倍 = 39,155円
5)10年後の予想株価に今後10年分の予想配当金合計額を加えた値と、現在の株価から今後10年間の期待収益率を計算する。計算式は、期待収益率=(10年後の予想株価/現在の株価)^(1/10)-1 である。
税引前手取金額(下限)=10年後の予想株価の下限+今後10年分の予想配当金合計額= 9,392円+18,110円=27,602円
税引前手取金額(上限)=10年後の予想株価の上限+今後10年分の予想配当金合計額= 39,115円+18,110円=57,265円
税引前手取金額(下限)の期待収益率=(27,602円/37,170円)^(1/10)-1 = -2.93%
税引前手取金額(上限)の期待収益率=(57,265円/37,170円)^(1/10)-1 = 4.42%
Q13.過去のEPS成長率を元に計算する手法で、期待収益率を計算せよ
1)直近のEPSと10年前のEPSをもとに、過去の平均EPS成長率を出す。計算式は、過去の平均EPS成長率=(直近のEPS/10年前のEPS)^(1/10)-1
過去のEPS平均成長率=(511.89円/17.08円)^(1/10)-1 =40.5%
2)直近のEPSと過去10年間の平均EPS成長率に基づいて、10年後の予想EPSを計算する。計算式は、予想EPS=直近のEPS✕(1+過去の平均EPS成長率)^10である
同社のEPSが、過去10年間の成長率と同じ40.5%で今後も成長を続け、配当性向が35.2%で維持されるなら、2024年から2033年にかけてのEPSと配当の状況は、以下のように予想される。
年 予想EPS(円) 予想配当(円)
2023 511.89 65 *基準年
2024 719.19 253.16
2025 1010.45 355.68
2026 1419.66 499.72
2027 1994.58 702.09
2028 2802.34 986.42
2029 3937.22 1385.90
2030 5531.70 1947.16
2031 7771.91 2735.71
2032 10919.34 3843.61
2033 15341.42 5400.18
(2024年~2033年の配当合計は、約18,110円)
3)予想EPSに過去10年間の平均PERをかけて、10年後の予想株価を求める
10年後の予想株価下限 =2033年の予想EPS*過去10年間の最低PER = 15,341.42円*9.6倍 = 147,278円
10年後の予想株価上限 = 2033年の予想EPS*過去10年間の最高PER = 15,341.42円*39.6倍 = 607,520円
4)10年後の予想株価と現在の株価から今後10年間の期待収益率を計算する。計算式は、期待収益率=(10年後の予想株価/現在の株価)^(1/10)-1 である。
税引前手取金額(下限)=10年後の予想株価の下限+今後10年分の予想配当金合計額=147,278+18,110=165,387円
税引前手取金額(上限)=10年後の予想株価の上限+今後10年分の予想配当金合計額=607,520+18,110=625,630円
税引前手取金額(下限)の期待収益率=(165,387円/37,170円)^(1/10)-1 = 16.1%
税引前手取金額(上限)の期待収益率=(625,630円/37,170円)^(1/10)-1 = 32.62%
株価分析のまとめ
仮に、2023年12月29日時点の価格37,170円で同社の株を1株購入したとします。同社の株を、疑似債券としてみると、初年度の直利は1.4%、クーポンの成長率は、40.5%となります。これを元に同社の株を10年間保有する場合の期待収益率を計算すると、税引前で-2.93%(Q12のPER9.6倍のケース)から、32.62%(Q13のPER39.6倍のケース)の範囲という結果が得られます。つまり、10年保有した場合の株価の範囲は、27,602円~62,563円となります。
以上が、株価分析パートでした。いかがでしょうか?
結果評価
この分析がどの程度正しいかは、最終的には2033年まで待ってみないと難しいです。しかし、2024年の同社の決算短信(https://irbank.net/E01991/results#note_6)から2024年のみ数字で検証したのが以下の表です。
年 予想EPS($) 実績EPS($) 予想に対する誤差 予想配当(円) 実績予想配当(円) 予想に対する誤差
2023 511.89 511.89 0.0% 65 65 0.0%
2024 719.19 655.04 -8.9% 253 230 -9.1%
2024年の実績EPSは655.04円で、予想よりも-8.9%。配当金は230円で、予想よりも-9.1%でした。配当性向は35.1%でほぼ変わらずでした。
さて、私個人としては、同社は消費者独占企業としても良いように思います。ただ、懸念しているのは、大手の競合会社KLA社が同社と同じ市場に参入する可能性がある事、自社株買いにあまり積極的でない事が懸念点です。また、今回、2023年12月29日の株価37,170円で購入した場合で検証しました。しかし、2025年2月28日の株価13,370円で購入した場合、10年間保有する場合の期待収益率は、7.52%~46.9%となります。やはり、割安で購入した場合は、大きく期待収益率が異なる事がわかりました。購入するかどうかは別として、同社をウォッチリストに入れて監視していきます。
最後まで読んで読んでいただき、本当にございます。今日も良い一日をお過ごしください!
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